長文を書く人にとって欠かせないのが、アウトラインプロセッサー。私はWindowsでは「Nami2000」を愛用してきました。
ChaletOSでもWineを利用し「Nami2000」を動かすことはできます。しかし、インライン変換ができません。変換候補が離れた所に表示されてしまいます。
慣れようと思えばできたかもしれませんが、あくまでLinux上でのWindowsプログラム。いつさらなる不具合が起きてもおかしくありません。ですから、代替プログラムを探すことにしました。
ふざけんなGjots2 Jotter
Linuxで【色々な意味で】名の通ったアウトラインプロセッサーと言えば「Gjots2 Jotter」。
確かに軽快に動くソフトです。
しかし拡張子が長い。「.gjotsfile」なんて自分が知っている限り最長の拡張子です。
しかも、「Gjots2 Jotter」は保存時に自動的に拡張子を付けてくれないのです。
確かにLinuxでは拡張子なしでも、ダブルクリックするとそのファイルに見合ったプログラムが起動します。
中身は単なるプレーンテキスト
しかし「Gjots2 Jotter」のデータ、実は単なる【プレーンテキスト】。ですから「Gjots2 Jotter」で保存した一見、階層構造がありそうなファイルをダブルクリックすると、標準のテキストエディター(私の場合Geany)が起動するのです。
それを避けるためには、いちいち「.gjotsfile」という長~~~~~~~~い拡張子をいちいち付けて保存しないといけないのです。ミスタイプも起こりやすいですし、何より面倒くさいです。著作がスムースに出来なくなる。ということですぐにアンインストール。
そざけんな「Gjots2 Jotter!」
誰もがそう思うはずのプログラムです。
CherryTreeがお勧め
こうした「Gjots2 Jotter」の不便さ、うっとうしさは、実は事前に知っていました。結構有名な話だからです。しかしながらUbuntuでは、アウトラインプロセッサーの「数」自体が少ないのです。ですから選択肢が無かったのです。
そのため何とか使いこなそうとしましたが無理でした。度を越して不便です。
しかしもともと数が少ないので、他の使えるアウトラインプロセッサーを探すのにも大変な苦労をしました。
そして最後の最後に「CherryTree」というプログラムに辿り着きました。「Hierarchical Note Taking」(≒階層メモを取るソフト)という説明なので、多分アウトラインプロセッサーだろうなと思いました。
しかし同時にアイコンが「個性的だな」と感じたので「今回もだめか」と思いながらインストールしました。
しかし裏切られました。見た目と違ってかなり使えるソフトです。
無題ノードが作れる
「Nami2000」や(悔しいけど)「Gjots2 Jotter」の便利だった点は、文章を作る際、事前にノードタイトルを考える必要がなかった点です。エディター内の先頭行が自動でノードタイトルになるからです。
「CherryTree」にはそうした機能がありません。他のLinux系アウトラインプロセッサーと同様に先にノード名を決めないと文章が作れないのです。原則は。
しかしあくまで原則論。「CherryTree」はとても融通が利きます。「CherryTree」では「Ctrl+N」のショートカットで簡単に新規ノードが作成できます。
一見するとやはり最初にノード名を入力しないといけない様に見えます。しかし、このまま「OK(O)」を押しても大丈夫。ノード名が「?」のままで文章が作成出来ます。文章が練上がってから後で【容易に】ノード名を変更出来るのです。
エディター上でノード名を変更できる
その変更方法もとても簡単です。文章を作成しているエディター上で「F2」ボタンを押すとまた前回と同じ画面が出ます。
そこでノード名を入力すれば良いのです。他の融通の利かないアウトラインプロセッサーは、わざわざノードツリーまでマウスを移動し、該当のノード上で右クリックまたは「F2」ボタンを押さないと、ノード名を変更できません。
そんな必要が無く簡単に後からノード名を変更出来るのです。惚れました。
長文を書く人は、最初からノード名なんて決めてないと思うんです。文章を書いていくうちに、ノードのタイトルが浮かんで来るんだと思います。そういった意味でも長文書きに最適なアウトラインプロセッサーだと言えます。
チェリーアイコンは黒点にできる
このように長文を書くの最適であること、とても融通が利くことを説明しても、やはり例のサクランボアイコンの件でインストールをためらう方も多いと思います。あのアイコンは確かにビジネス向けではありません。
しかし、このサクランボアイコンは簡単に「黒点」に変更出来ます。この点もとても融通が利きます。これならビジネスや学術の現場でも使えるのではないでしょうか。
※筆者はなんだかんだ言った挙句、今はサクランボアイコンを使っています。憎めないんです。
スタイルもいくつかある
「CherryTree」にはスタイルがいくつかあります。今のところ7つと少ないですが、cobalt、kate、oblivion、tangoなど主要なテーマは揃っています。
目が疲れにくいダーク系のテーマもあるので、そういった点でも長文書きにはお勧めのアウトラインプロセッサーです。くじけず良質なアウトラインプロセッサーを求め続けて、本当に良かったと思っています。
リッチテキストにも対応
このように長文に適した「CherryTree」なのですが、実はリッチテキストにも対応しています。
プレーンテキスト以外にも画像やリンクの挿入、表も作成出来ます。どこまで高機能なんでしょうか?
別の記事でアウトラインプロセッサー(リッチテキスト対応編)について書く予定ですが、そちらでもお勧めするつもりです。
Windows版はポータブル版も有り
この一押しの「CherryTree」ですが、実はWindows版もあります。しかもポータブル版もあります。
もしかしたら「CherryTree」は、他のWindowsのアウトラインプロセッサーより優れているかもしれません。
確かにOSの移行は簡単ではありません。それでも、ChaletOSに移行しても「CherryTree」のような優れたプログラムが利用できるということは是非体験して頂きたいのです。
階層付きテキストを読み込む作戦
Windowsでは「FitzNOTE」、「Nami2000」、「NanaTerry」など沢山の「国産」アウトラインプロセッサーがあります。
何かの事情でアウトラインプロセッサーを変更する際、今までの(テキスト)データは、大体他のプログラムでも利用できます(日本のWindows環境の場合)。それは【日本国内】では「階層付きテキスト形式」という汎用性の高い保存形式が浸透しているからです。
しかし、「階層付きテキスト形式」のやり取りが出来るのは、あくまで国産アウトラインプロセッサーの間だけです。Linuxではまだ国産のアウトラインプロセッサーは開発されていません(執筆時点)。
ですから「CherryTree」を含めたLinuxのアウトラインプロセッサーは「階層付きテキスト形式」をインポートすることが出来ないのです。
インポート形式が多いCherryTree
そのことは確かにChaletOS(Linux)への移行への障壁となるでしょう。しかし、不完全ですが「Nami2000」を経由すれば、他のアウトラインプロセッサーで作ったテキストデータも「CherryTree」にインポートが出来ます。
なぜなら「CherryTree」はインポートできるファイル形式が非常に多いからです。これも「CherryTree」の大きな魅力です。
なお、これ以降は実際に「CherryTree」に、テキストデータをインポートさせる方法を説明します。しかし、大前提としてこれからの作業は、必ずWindows上で行って下さい。そうでないと文字化けします。
ちなみにChaletOS上の「Nami2000」からエクスポートしたテキストデータを、同じChaletOS上の「CherryTree」にインポートすると、以下のように文字化けします。
つまりLinux版の「CherryTree」は「Shift_JIS」には全く対応していなということです。
テキスト形式を含むフォルダーからインポート
アウトラインプロセッサーのユーザーであれば、「階層付きテキスト」を使ったデータ移行についてご存知だと思います。ですのでその説明は割愛。
では本題の「Nami2000」から「CherryTree」にデータを(不完全ながら)移行させる方法について説明します。
他のソフトからテキストデータが取込が終わりましたら、そのまま「Nami2000」の「ファイル(F)」メニューをクリックします。
その中にある「テキスト出力(E)」という項目を選択します。そうすると以下の画面が現れます。
非常に選択肢が多いのですが「現在のページを下の階層も含めて個別に保存する(V)」にチェックを付けて「OK」をクリックします。
保存先が問われますので、適当な名前のフォルダーを作るなどして、必ず専用のフォルダーを用意し「OK!」をクリックして下さい。
階層の無いテキストが出力される
そうすると選択したフォルダー内にノード単位で分割されたテキストファイルが出力されます。
今度はWindows版「CherryTree」を起動します。「インポート(I)」メニューをクリックし上から3つ目の「テキスト形式を含むフォルダーから(F)」をクリックします。
すぐ以下の画面になりますので、そのまま「OK(O)」をクリックします。
次にインポートするフォルダーを選択します。
該当のフォルダーを選択し「開く(O)」をクリックします。
そうすると「Nami2000」でエクスポートしたテキストデータが一応「CherryTree」にインポート出来ました。
ノードの整理がしやすい「CherryTree」
しかし、階層構造は失われています。またノードの順番も保持されていません。つまり完璧なインポートではないのです。ちなみに本来の階層構造は以下のとおりです。
このように不完全な形でインポートされたデータは、「CherryTree」上で階層の再構築、整理をする必要があります。しかし、その整理が「CherryTree」は比較的楽なのです。なぜなら以下の4つのショートカットキーのみでノードの移動や階層の整理が出来るからです。
- 「Shift + ↑」:上に移動
- 「Shift + ↓」:下に移動
- 「Shift + →」:階層を下げる
- 「Shift + ←」:階層を上げる
ツリーペイン上で該当のノードを選択し上記のショートカットを使って、目的の位置まで移動させたり、階層を下げたりという作業が素早く出来るのです。
先程の階層構造が失われたテキスト、かなり長文ですが再構築するのに10分もかからなかったです。
このようにして再生できたデータは必ず「CherryTreeドキュメントにエクスポート」してから、ChaletOS(Linux)で使いましょう。
過去はHTML出力
とは言えさすがにノードの整理がしやすいと言っても、面倒なことは面倒です。ですからその面倒を少なくする方法として、過去のデータ、もう編集しないデータは「HTML出力」してしまうという手段があります。
「HTML出力」であれば階層構造も維持できます。なおかつリッチテキスト情報も維持できます。HTMLなので画像やフォントも保存出来るからです。また、ほとんどのアウトラインプロセッサーに標準で「HTML出力」機能が付いています。
以上の画像は「FitzNOTE」で作っていたデータを「NanaTree」で読み込みHTML形式で出力した例です。HTML5に準拠するためframeset画面をiframeに置き換えて HTML5に準拠させるjQueryライブラリ | ITとキャンプとを使わせていただいて多少手を加えています。
HTMLの良い所は他のOSでも文字化けの問題もなく表示可能だということです。実際、Windowsで出力した上記のHTMLファイルはChaletOSでも問題なく見ることが出来ました。
過去のデータはスッパリ「HTML出力」してしまえば、「階層付きテキスト形式」がLinuxでは読み込めないという問題も乗り超えやすくなると思います。