突然ですが、以下のシップ(湿布)、どのくらいの大きさだと思いますか。
答えは14cm×20cmです。一般的なシップ(湿布)のサイズは以下の2種類。
- 普通サイズ:7cm×10cm
- 大判サイズ:10cm×14cm
ですから、このシップ(湿布)は一般の物に比べてはるかに大きいのです。
大きさは一目瞭然
大きさは一目瞭然。普通サイズ(7cm×10cm)、大判サイズ(10cm×14cm)と、この特大サイズのシップ(湿布)を並べてみました。

これで、冒頭で取り上げた「Hisamitsu モーラスパップ60mg」の大きさがより具体的に伝わったと思います。
2016年4月の診療報酬改定
私が「Hisamitsu モーラスパップ60mg」を使い始めたのは割と最近です。2016年の4月からです。ご存じの方も多いと思いますが、2016年4月に「診療報酬改定」がありました。
シンスプリントは患部が広い
それ以前、2016年3月までは通常の大判サイズの「ロキソニンテープ100mg」(10cm×14cm)のジェネリックを使用していました。1回の処方限度である70枚を月2回処方してもらっていました。つまり1月で140枚も処方されていたのです。
なぜこんなに大量のシップ(湿布)が必要だったのでしょうか。それは私の怪我が「シンスプリント」だからです。
シンスプリントは疼痛範囲(痛む部分)がかなり広いという特徴があります。

個人差はあるでしょうが、私の場合、スネの内側のほぼ全体が痛んでいました。さらにたちが悪いことに、シンスプリントは両脚とも同時に発症することがほとんどです。
ですから大量のシップ(湿布)が必要だったのです。
シップ(湿布)をもらいに通院していたようなもの
「診療報酬改定」の以前も「1回」の診察で処方できるシップ(湿布)の上限は70枚でした。しかし「1月70枚」までという制限が無かったので、複数回通院すれば大量にシップ(湿布)を購入できたのです。
裏を返せば、病院にはシップ(湿布)をもらうためだけに、通っていたようなものでした。そんなに症状は悪くないのに。本当は面倒くさかったのです。
2016年4月の診察
そうこうしているうちに2016年4月が訪れる。
「診療報酬改定」とその悪影響のことは把握済み。そのため重い足取りで診察室へ。そしていつもどおり、診察の終わりにシップ(湿布)の処方を依頼。
「当院も今月から1月70枚までしか処方できません」と予想通りの回答。
「もしシップ(湿布)が無くなってしまったら…」と質問。
「その時は『軟膏』を処方します」
困りました。非常に困りました。
シンスプリントに塗り薬は効かない
シンスプリントは筋肉の炎症ではありません。
その奥深くにある「骨膜」が過度に引っ張られることによって起こる「骨膜炎」なのです。「骨膜」とは文字通り骨にくっついている膜です。

ですから患部が非常に深いのです。そのため、シンスプリントには塗り薬は全く効きません。経験上そう断言できます。しっかりと患部の上に長時間固定しないと、鎮痛消炎成分が奥深くの「骨膜」まで届かないからです。
塗り薬では、そのようなことは到底できません。
繰り返しますが、軟膏などの塗り薬はシンスプリントには完全に不適切なのです。
医師にプレゼンテーション
「シップ(湿布)が足りなくなったら『軟膏』を処方します」と言われましたが、当然予想の範囲内。
私は以下の点を理路整然と説明し、食い下がりました。
- もう一度、ズボンをまくり上げ、痛む範囲を医師に示した
- 手指で「この範囲が痛い」とジェスチュアーを交えて、痛む範囲の広さを具体的に示した
- 経験上、シンスプリントには塗り薬は全く効き目が無いと説明(あくまで個人的には)
- だからどうしても今までどおりの量のシップ(湿布)が必要と説明
もうプレゼンみたいなものでした。中でも痛む範囲の広さをジェスチュアーで示したのが、よほど先生の心に響いたみたいです。
分かりました。今までの2倍の大きさのシップ(湿布)を70枚処方します。
粘ってみるものです。これではシップ(湿布)不足の問題は一気に解消。一安心。ホッ。でも「あるんだったら早く言ってよ」とも思いました。
でもお高いんでしょ
そこで処方されたのが「Hisamitsu モーラスパップ60mg」だったのです。

さて、足取りも軽やかに薬局へ。処方箋を誇らしげに提示。案外早く名前が呼ばれ、拍子抜け。
「オェ。何じゃこのボリュームは」。この写真では威圧的なボリュームが伝わらないかも知れません。
しかし14cm×20cmの物体が70枚。高さは15cmぐらいあったはず。薬剤師さんも両手で抱えて、やっとこさカウンターまで持ってきた様子。
「もうここは薬局ではない」。この巨大な「何か」は到底「医薬品」には見えませんでした。二重三重の驚きにうろたえつつ、しばらくしてなんとか落ち着きを取り戻す。
しかし、今度はこう思いました。「やばい。こんな大量だと、4、5千円はするぞ」
サイズは2倍、コストは1/2、重量2倍超
しかし、それは取り越し苦労でした。
14cm×20cm。待望の特大シップ(湿布)が合計70枚でたったの1,120円。ホッとしたのと同時に、あまりの安さに腰が抜けそうになりました。
そんな気の抜けた状態で現物を受け取る。
ドスッズサッ。
思わずよろめく。
べらぼうに重いんです。2kg前後はあったはずです。「Hisamitsu モーラスパップ60mg」×70枚に挑戦される方は重さ対策も必要だと思います。
ちなみに、以前使用していた「ロキソニンテープ100mg」(10cm×14cm)のジェネリックは今回の半分のサイズ。それでも70枚で1,000円ちょうどでした。
月2回処方されていたので、1月で2,000円をシップ(湿布)に費やしていたことになります。サイズは2倍、コストは1/2。
「先生、あるんだったら早く言ってよ〜」
物言う患者に
今回の経験で痛感したのは「餅は餅屋」、「馬は馬方」ということ。
一般の人でも専門家並の情報が調べられる時代。それでも流石に大判サイズ(10cm×14cm)を超える大きさのシップ(湿布)があるなんて知りませんでした。
高度で専門的な情報はやはり、その道の専門家、つまり医師や薬剤師に相談するのが本筋だと痛感しました。裏を返せば、処方された薬に不都合・不便な点があった場合、些細なことでも遠慮せず医師に相談すれば、きっと何らかの代替案を提示してくれるはずだとも思いました。
そうした些細な事が実は、治療を早めてくれる可能性も十分にあるとも思いました。ぜひ(文句・苦情ではなく)、医師に物言う患者になりましょう。そしてなるべく早く完治してしまいましょう。
シンスプリントは短期決戦
私の失敗からすると、シンスプリントは発症後1ヶ月間程度で完治させないと、年単位で長引いてしまいます。地獄の慢性化を防ぐためにも、特にシンスプリントの患者の方は、医師と綿密なコミュニケーションを取って、必ず短期で完治させましょう。
絶対に不明点、不便な点、不安な点などを一人で抱え込まないで下さい。医師、薬剤師の知識・知恵をフル活用し、必ずシンスプリントは短期でやっつけましょう。シンスプリントは短期決戦です。一時も気を抜いてはいけません。
光過敏症にはご注意を
さて、今回はなんとか特大(14cm×20cm)のシップ(湿布)の処方に成功しました。
しかし今回のようにサイズや種類が豊富にあるものは「モーラス」系のシップ(湿布)に限られるようです(※素人調べ)。やはり何十年もの実績と歴史がある商品だからでしょう。
「モーラス」というのは商品名。その鎮痛消炎成分は「ケトプロフェン」。
この「ケトプロフェン」は「光過敏症」を引き起こす恐れがあります。「光過敏症」とは、シップ(湿布)を貼った場所が紫外線を浴びると、発疹、腫れ、かゆみ、水ぶくれなどが現れる症状のこと。
ですから、新たに処方されるシップ(湿布)に「モーラス」、「ケトプロフェン」という文字があったら「光過敏症」に必ず気をつけましょう。まあ、少なくとも薬剤師さんからは必ず説明がありますけど。
結論、シップ(湿布)を安く買う方法
以上3回に渡って「シップ(湿布)を安く買う方法」について取り上げてみました。現時点での結論は以下の通りです。
通院中の場合
- 必ず患部に最適なサイズのシップ(湿布)を処方してもらう
- 種類は限られるが、意外とサイズの種類はある
- それを最大限(70枚/月)処方してもらう
通院していない場合
- 市販では大判サイズ(10cm×14cm)が最大
- その中で最も安いのは以前から紹介している2商品のみ
- 以下の2商品でやりくりするのが、最も安価
▼「オムニードケトプロフェンパップ」は「光過敏症」に注意▼