うつ病の主症状のひとつとして「性欲の減退」が挙げられます。
しかし、抗うつ薬が効き出して、普通と遜色の無い生活を送れるようになると、性欲も徐々に戻ってきます。
しかし、せっかく戻ってきた性欲を、台無しにする抗うつ薬があります。その代表格が「パキシル」です。
SSRIは全般的に性機能障害を起こしやすい
私は医者ではありませんので、医学的なことは分かりません。しかし、ジェイゾロフトに代表されるSSRIは「セロトニン」を増やす効果があるため、「性機能障害」が起こりやすいようです。
私は2010年~2012年6月まではジェイゾロフト。
2012年8月(当時35歳)~2015年末まではパキシルを飲んでいました。
パキシルによる劇的に性欲低下・性機能障害
ジェイゾロフトとパキシルを比較して言うと、パキシルは劇的な性欲低下・性機能障害をもたらしました。もちろん、どっちの薬が性欲低下につながるかは個人差があると思います。
しかし、パキシルの副作用として、「性欲低下・性機能障害」が挙げれることはご留意して頂きたいのです。
パートナー(妻や彼女)がいないと気づきにくい
恥ずかしながら私は彼女いない暦13年になります。
ですから、性欲低下・性機能障害については問題やトラブルになることは無かったのです。

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もちろん、性欲、性的興奮が低下していることや、性機能が落ちてきていることは自覚はありました。それでもそれがパキシルのせいだとは、思わなかったのです。
医師から副作用の説明なし
その原因として挙げられるのは、医師からの説明不足でした。
薬を変更する際、代替薬のメリットは必ずといっていいほど説明されます。しかし、副作用のことは、少ししか説明されないか、省略されることが多いのです。
このことは、「パキシルは太る 患者の視点から」でも同じでした。太る可能性や性欲が低下する可能性は一切事前に説明されていなかったのです。
しかも処方薬の説明書にも記載なし
これも「パキシルは太る 患者の視点から」でも触れたとおり、処方薬を薬局で購入すると、「注意事項・副作用」などが書かれた説明書のような物が添付されます。
しかし、その「副作用の項目」にも性欲低下については記載はありませんでした。ですから、パキシルで性欲低下・性機能障害が起こるということについて全く認識が無かったのです。
年齢のせいだと勘違いする
パキシルを飲み始めたのが、2012年8月。当時35歳でした。中年期に真っ只中。体に様々な変化が起き始める年でした。
もちろん、性欲低下・性機能障害について自覚はあったのですが、それも年齢のせいだと勘違いしてしまったのです。
異性への興味・関心が無くなる
結局、今年の1月からパキシル→ジェイゾロフトに戻すことで、性欲も通常になり、性機能障害もなくなりました。そこでやっと、性欲低下・性機能障害の原因がパキシルだったのだと分かりました。
約3年もそのことに気づかなかったのです。
もし仮にパートナーが存在していれば、もっともっと早く気づいたかもしれません。
しかしそういった性的トラブルが無かったから、良かったとは全然言えません。
なぜなら、性欲が低下するということは、性的興奮が無くなるということです。
つまり女性(異性)に対して興奮や興味が減ってしまうです。
もっと簡単に言えば、女性(異性)に対して関心が無くなって来るのです。
独り身なのにさらに異性が遠のく
- うつ病
- 不安定な非正規社員
- ワーキングプア
- しかもパキシルの副作用で、3年で約20kg増加、小太り
- 40才目前のおじさん
もてる要素は何もありませんね。
しかし、それでも女性(異性)に興味があれば、何か自分でアクションを起こしていたかもしれません。
性欲や異性への関心が戻ってきた今だからこそそう思います。
失った3年は長すぎました。
うつ病患者だって人並みの暮らしはしたい
以前の記事で紹介したとおり、私はリフレックスを服用するようになり、イライラや攻撃性が抑えられない全く別人格に変わりました。そして普段の生活が送れなくなり、職も失いました。
リフレックスの副作用を抑えるために、パキシルが処方され、20kgも体重が増加し、シンスプリントというケガにも泣かされています。
そして、性欲が低下し女性(異性)への関心も無くしてしまいました。
このように2012年から2015年の3年間、薬の副作用によって人生がメチャクチャになってしまいました。
2016年、ジェイゾロフトに戻し、副作用の少ない生活に戻って改めてこのように思っています。
- 安定した職に就きたい
- もう最後かもしれませんが、もう一度恋愛をしたい
- 家庭をもちたい
つまり、ただ人並みの生活をしたいと切に願っているのです。
でもそれが叶わない、行き辛い社会に生きていることは重々自覚しています。
特に以下の記事に書かれているように、一度「非正規」になると、もう将来が無いことは分かっています。
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※この本は、今正社員の方も一度見てほしい本です。
精神療法なども併用してみる
以前の記事でも紹介したとおり、ジェイゾロフト、パキシルだけに限りませんが、同じ薬を使い続けると、いずれその効果が頭打ちになる時期が必ずやって来ます。
それこそ、あなたのうつ病が寛解に向かいつつあることの証拠だと思います。少なくとも急性期の一番底は抜けているはずです。

出展:うつ病の再燃と再発
そういった時こそ、試してほしいのは、性欲低下・性機能障害の【リスク】のある薬の変更ではなく、認知行動療法、カウンセリングなどの精神療法です。
精神療法で性欲低下・性機能障害は起きない
精神療法は、薬物療法とは異なり、はっきりとした副作用がありません。
また薬物療法と併用することで、治療の効果が高まる、再発率が減る、といった報告もあります。
これらのことからすると、現在使用している副作用の出ていない抗うつ薬と、副作用のない精神療法を併用することが、やはり最も安全で着実あると言えるのです。
副作用について医師に積極的に尋ねる
性に関する問題は、非常にセンシティブでプライバシーにも関わる問題です。
ですから気軽には相談できないと思います。
特に先生が異性なら、なおさらです。
パートナーがいなければ、性機能障害について気づきにくいでしょう。
中年期に差し掛かっていれば、老化の問題と誤解してしまう可能性も高いでしょう。
しかし、抗うつ薬には全般的に性欲低下・性機能障害の副作用があることは認知していただきたいのです。
そして、性欲低下というプライベートなことでも、自分で抱え込まないでほしいのです。
私は3年間も「老化のせい」と自分で抱え込んでいたせいで、女性(異性)に対し一層無関心になってしまっていたのです。
この3年間は戻ってきません。
こうした事態を防ぐ為にも、やはり性の問題も、積極的に先生に相談する、または、自分で薬の副作用について調べるということはやって頂きたいのです。
毒をもって毒を制すは大変危険
私の事例で言えば、ジェイゾロフトを2年服用し効果が頭打ちになってきたから、リフレックスに変更。そしてイライラ・攻撃性が強い人格に変貌。職を失う。
それからパキシルに変更することで、急激な体重増加、性欲低下・性機能障害という副作用に苦しむ。
薬物療法は、うつ病の初期には最も効果的です。しかし、効果が頭打ちになってきたら、毒をもって毒を制すことはしないでほしいのです。つまり、薬は変更せず、精神療法を積極的に併用してほしいのです。少なくともそうすれば、私のような、副作用による失敗や挫折は経験しなくてすむはずです。
ジェイゾロフトが一番安全だと思います
これも以前書いた記事と結論が一致しますが、もしあなたが今、ジェイゾロフトを使っているのなら、更なる薬効を求めて、他の薬に変更することは、絶対におすすめしません。
なぜなら、ジェイゾロフトが最も安全な薬のひとつだからです。
つまり、リフレックスやパキシルなどの他の抗うつ薬は、何らかの副作用をもたらす【リスク】があるということです。それに比べ、ジェイゾロフトはかなり安全でリスクが少ないのです。
すぐにうつ病を治したい気持ちは分かりますが、即効性のある薬物療法に重点を置くより、抗うつ薬はジェイゾロフトをメインとしながら精神療法を併用するという、性欲低下などの弊害も少なく、安全で着実な方法でうつ病を治していことをおすすめします。