前回はChaletOSのデフォルトのファイルマネージャー、「Thunar」の基本的な使い方を説明しました。今回は「Thunar」の最大の魅力である「カスタムアクション」の登録方法を、インストール必須の展開ソフト「unar」を紹介しながら説明したいと思います。
unarで文字化け解消
ChaletOSには標準で圧縮・展開機能が備わっています。しかし、標準の圧縮・展開機能には欠点があります。それはWindowsで作成した「日本語を含む」圧縮ファイルを展開すると文字化けしてしまうことです。
実例で説明します。深い意味はありませんが「窓の杜」さんから「NanaTerry」アウトラインプロセッサー「NanaTree」の派生版 - 窓の杜ライブラリをダウンロードしました。ダウンロード先は通常「~/Downloads」ですので「Thunar」で開きます。
無事「110.zip」というファイルがダウンロードできています。では実際に展開してみます。「110.zip」の上で右クリックをします。メニューの下から3つ目に「ここで展開(H)」がありますので選択します。
無事展開がされました。
しかし、展開されたディレクトリの中を見ると、一番左上のディレクトリが文字化けしています。このディレクトリだけでなく、他の日本語のサブディレクトリや日本語ファイルも全滅でした。
OS間での日本語文字コードの違いが原因です。
文字コードを自動検出するunar
しかし、こうした文字コードの違いを自動検出してくれる優秀な展開ソフトがあります。それが「unar」です。必須のソフトです。このソフトも「Application Center」からインストールが出来ます。
検索欄には必ず「unar」とご入力下さい。同じような名前で「unrar」というソフトもあります。紛らわしいので必ずご注意下さい。「詳細情報」をクリックして以下の画面になっていれば「unar」です。右上の「インストール」でインストールして下さい。
端末からインストールした方が確実
「Application Center」で名前を間違えないよう神経を使うよりは、端末(ターミナル)で「unar」をインストールする方が楽かも知れません。
「Ctrl+Alt+T」で端末(ターミナル)は起動します。以下のコマンドで「unar」はインストール出来ます。
sudo apt-get install unar
コマンド入力後「Enter」を押します。次にパスワードを入力し「Enter」を押します。インストールが始まります。
unarはコマンドラインツール
以上の手順でインストールした「unar」ですが、実はGUIではありません。コマンドラインツールです。つまり端末(ターミナル)でコマンドを入力しファイルを展開するアプリケーションなのです(下図参照)。
確かに文字化け問題は解決しますが、いちいち端末でコマンドを打つのは、とても面倒だと思います。
しかし「Thunar」ならこの不便さを解消できます。そのために使用するのが「カスタムアクション」なのです。
カスタムアクションの作成方法
「カスタムアクション」とは、「Thunar」の右クリックメニューに任意のメニュー、コマンドを追加することを意味します。では実際の作成、追加方法を説明します。
どのディレクトリを開いていても構いません、「Thunar」のメニューバーの中から「編集(E)」をクリックします。メニューの下から2つ目の「アクションの設定(U)」をクリックします。
すぐに「カスタムアクション」という画面がポップアップしてきます。
この画面の右側一番上の「+」ボタンをクリックします。すぐに以下の「アクションの作成」画面になります。
unarをカスタムアクションに登録
「名前(N)」は右クリックメニューに実際に追加される「メニューの名称」です。「説明(D)」は文字通りですので割愛。この2つはご自身が分かりやすいように設定して構いません。
以上が私の設定例です。重要なのはやはり「コマンド(C)」の部分です。
「unar」の次の「-r」はオプションです。「-r」は同名のディレクトリが存在する場合、上書きをせず名前を変えて展開するというオプションです。安全のため付けました。
次の「%F」ですが複数のファイルを展開することもあると思い「%f」ではなく「%F」としました。
「unar」のオプションについては、英語ですが、Ubuntu Manpage: unar - extract archive file contentsをご参照下さい。
一応コマンドを書いておきます。
unar -r %F
次にこのコマンドをどの条件で適用するかの設定をします。「アクション作成」画面の右側「登録する条件」タブをクリックします。
最初は上のような状態ですが、以下の様に変更して下さい。
圧縮ファイルはどれにも該当しないので「その他のファイル(O)」を選択します。「その他のファイル(O)」だけ選択されたことを確認し「OK(O)」で閉じます。以上で「unar」をカスタムアクションに追加出来ました。
右クリックでunarが使える
では実際に追加したカスタムアクションを使ってみます。もう一度ダウンロードディレクトリ(~/Downloads)を開きます。「110.zip」の上で右クリックをします。そうすると「unarで展開」というメニューがありますので選択します。
デフォルトの解凍機能よりも、かなりスピーディに展開が出来たと思います。この点も「unar」のメリットです。
展開された「110」というディレクトリを開きます。無事文字化けは起こっていません。
このように扱うのには敷居が高いコマンドラインツールも、「カスタムアクション」を利用すれば、右クリック一つで使いこなせるのです。
「Thunar」がデフォルトのファイルマネージャーであるChaletOSは柔軟で扱いやすく、奥が深いOSだと言えます。
ちなみにカスタムアクションの作成例については、英語ですが、xfce:thunar:custom-actions [Xfce Docs]で確認が出来ます。
次回以降も数回「カスタムアクション」の例を挙げてみたいと思います。