以前の記事では「.NET Framework」を利用するにはWine環境を32bitで構築する必要があると説明しました。しかしながら「.NET Framework」をインストールしても、希望のプログラムが動作するとは限りません。
今回は、その実例を紹介します。
ちなみに、以降の説明は64bit版ChaletOSでのWineの初期設定、日本語文字化け対策、allfontsのインストール方法を参考の上、どうしても「.NET Framework」プログラムが必要で、既に32bitのWine環境を構築済みであることを前提しています。
Schedule Watcher自体は問題なく動作する
フリーのスケジュール管理ソフト「Schedule Watcher」は手動インストール型のプログラムです。ですからダウンロードし展開したフォルダーを、以下のフォルダーにコピーして使います。
- ~/.wine/drive_c/Program Files/
後はその中の「Schwatch.exe」をダブルクリックするだけです。
さすがに色合いやフォント等は微妙に違いますが、それ以外は全く問題ありません。
またそのアドオンである「天気予報情報取得プログラム」も、以下のダイアログが出てこないだけで天気情報はちゃんと取得してくれます。

※株価取得プログラムは未検証。もともと使ってなかったので。
「グーグルカレンダーと同期」は動かない
「Schedule Watcher」にはアドオン以外にも「Utilities」というプログラムがあります。その代表例が「グーグルカレンダーと同期」でした。文字通り「Schedule Watcher」のスケジュールをGoogleカレンダーに反映させるという非常に便利なプログラムです。
スマホ、タブレットユーザーにとっては必須のプログラムでしょう。しかし、この「グーグルカレンダーと同期」は例の「.NET Framework 4.0」を必要とするプログラムです。
嫌な予感はしましたが、まずは「.NET Framework 4.0」をインストールしました。そして「グーグルカレンダーと同期」を起動。
そしてエラー。
ハイそれまでョ。
これがWineの砦です。
Wineはまだまだ万能なソフトではありません(執筆時点)。どうしようもないエラーに遭遇したら、キッパリ諦めることです。そして未練を捨て代替ソフトを探すことです。
以上のようなことがあるので「.NET Framework」プログラムは諦め、Wineは64bit環境で構築する方が良いと私は思うのです。
Lightningしか無い
ChaletOS(Linux)でも「Googleカレンダー」と連動できて、そこそこ使いやすい「スケジュール管理ソフト」は「Lightning」ぐらいになるでしょう。
「Lightning」は電子メールクライアント「Thunderbird」のアドオンとして入手できます。
「Thunderbird」、「Lightning」ともクロスプラットフォームなので、ChaletOSでもWindowsでも動作します。
もしまだWindowsをお使いで、ChaletOSへの移行を検討中であれば、前準備として「Thunderbird」を使われることをお勧めします。
過去は過去、過去はローカルデータに
「Lightning」に切り替えても、当然「Schedule Watcher」のデータはそのまま引き継ぎたいではず。ですからまずその方法を説明します。
先に「Schedule Watcher」の方の手続きが必要です。今までのスケージュールデータをエクスポートするのです。メニューバーの「ファイル(F)」の中に「エクスポート(E)」がありますのでクリックします。
「スケジュールのエクスポート」画面に移りますので、必ず「全件」をクリックします。
次に「ファイル(F)」をクリックし、必ずその中の「iCalendar形式で保存(I)」をクリックします。
適当な場所へ、適当な名前を付けてファイルを保存して下さい。その際、もう一度保存形式が「iCalendar形式」で拡張子が「.ics」であることを再確認して下さい。
Lightningで過去のデータをインポート
今度は実際に「Lightning」で「Schedule Watcher」のデータを読み込む方法を説明します。しかし、これはとても簡単です。
「Lightning」が起動しましたら、「予定とToDo(N)」メニューから「ファイルからインポート(I)」をクリックします。
インポートするファイルを選択する画面になりますので、先程エクスポートした拡張子「.ics」のファイルを選択し「開く(O)」をクリックします。
これで「Schedule Watcher」のスケジュールが全件、「Lightning」にインポートされます。
今からは「Provider for Google Calendar」で
以上で今までの「Schedule Watcher」で作成していたデータは「Lightning」で管理できるようになりました。今度は、スケジュールをGoogleカレンダーと同期して使用する方法を説明します。
「Lightning」とGoogleカレンダーを同期して使うためには「Provider for Google Calendar」というアドオンが必要です。アドオン入手のためには画面右上の三本線をクリックし、「アドオン」をクリックします。
「アドオンマネージャー」が開きましたら左側の「拡張機能」をクリックし右上の検索欄に「Provider for Google Calendar」と入力し検索します。
関係ないアドオンも表示されますが、先頭が「Provider for Google Calendar」になっているはずです。ご確認の上「インストール」ボタンをクリックして下さい。要再起動のアドオンですので、「Thunderbird」を再起動して下さい。
Provider for Google Calendarの利用方法
再起動が終わりましたら、「Lightning」の左側カレンダーペインの空白の所で右クリックをします。メニューの中から「新しいカレンダー(N)」をクリックします。
「新しいカレンダー」画面になりましたら、必ず下の「ネットワークのサーバーに保存する」をにチェックを入れ、「次へ(N)」をクリックします。
次の画面になりましたら必ず「Googleカレンダー」にチェックを入れます。そして「次へ(N)」をクリックします。
最後にメールアドレスの入力欄が現れます。ここに同期を取りたいアカウントのGmailアドレスを入力し「次へ(N)」をクリックします。
それ以降の過程は個人情報のため割愛。しかしさらに3ステップぐらいあります。※難しくはありません。その後無事以下の画面になりましたら「完了」をクリックして下さい。

最初にエクスポート&インポートを説明した理由
気軽にGoogleカレンダーが取れるアドオンがあるなら最初に言ってよ。そう思った方も多いと思います。しかし、最後に「Provider for Google Calendar」を紹介したのには理由があります。
もし一番最初に「Provider for Google Calendar」を紹介していたら、多くの方が先にGoogleカレンダー本体(リモートサーバー)に「Schedule Watcher」のデータをアップロードしインポートさせていたでしょう。
しかし、そうしてしまうと、Googleカレンダーが過去のスケージュールも含む大量のデータを保有することになります。
今の「Lightning」では「Schedule Watcher」の「グーグルカレンダーと同期」のように「更新期間を指定」する気の利いた同期ができません(筆者が調べた限り)。
つまり「Lightning」では「Googleカレンダー」上の一番過去のデータまで遡って同期を取るのです。これでは気軽に同期なんてできません。重たくて使いものにならないのです。
ですから、最初にデフォルトの「Home」にローカルデータとして、今までのスケジュールをインポートして頂いたのです。過去のデータは同期を取る必要が無いので。
WindowsからChaletOSへのプロファイルの移動は可能
以上の手順でWindows上で「Schedule Watcher」→「Lightning」への移行が完了しました。そしていよいよChaletOSに移行する場合、今度はWinsowsで使っていた「Linghtning」のデータもChaletOSに移したくなるはずです。
その方法は簡単です。
Windows上のプロファイルデータをChaletOSのに該当フォルダーにコピーし使用するだけです。文字化けしません。不具合無しです。
ちなみにWindows上でのプロファイルデータの場所は以下のとおりです。
C:\Users\username\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\
ChaletOSでの場所は以下です。
~/.thunderbird/
■参考サイト
Thunderbird のプロファイル | Thunderbird ヘルプ