前回までは、Thunar(ファイルマネージャー)を使う際に、最低限必要である3つの「カスタムアクション」について説明してきました。
- unarで展開(文字化けせず圧縮ファイルを展開)
- ClipItでファイルのフルパス名を取得
- root権限でフォルダを開く
しかし、たった3つカスタムアクションを追加しただけで、右クリックメニューがずいぶん多くなったと思います。
右クリックメニューが多すぎると、かえって煩雑だと思います。ですのでまずは、あまり意味が無いと(筆者が)思う6つのカスタムアクションについてご紹介します。そして最後に不要な「カスタムアクション」の削除方法を説明したいと思います。
カスタムアクションのバックアップ方法
カスタムアクションを整理、削除する前に、現在の「カスタムアクション」のバックアップを取ることをお勧めします。
「カスタムアクション」の設定は「~/.config/Thunar/uca.xml」というファイルに保存されています。※「.config」は隠しフォルダ。「Ctrl+H」で表示できます。なお「~」はホームディレクトリ「/home/(ユーザー名)」のことです。
xml形式となっていますが、「Mousepad」などのテキストエディタで開くことが出来ます。
ちょっと分かりにくいですが、以下の様に必要な情報が全て記載されています。
- icon=「アイコン(I)」
- name=「名前(N)」
- command=「コマンド(C)」
- description=「説明(D)」
- patterns=「ファイルのパターン(F)」
必ず「uca.xml」を外付けメディアなどにバックアップを取ること強くをお勧めします。「uca.xml」を元の場所に戻すことで、「カスタムアクション」は簡単に復元出来ます。
デスクトップの右クリックメニューも整理される
不要なカスタムアクションを整理するにあたって、もう1つ注意点があります。Thunarの「カスタムアクション」を削除すると、「Thunar」内だけでなく、デスクトップ上での右クリックメニューも同様に削除されるという点です。


しかしそうした点を考慮しても、これからご紹介する6つの「カスタムアクション」は不要だと思います。デスクトップ上の右クリックメニューから、それらの「カスタムアクション」が消えても不便さはないはずです。
- Home
- Make Bootable USB stick
- Format USB Stick
- Style Changer
- Start Point
- Settings
Homeはホームディレクトリに戻るじゃない
まず最初に不要な「カスタムアクション」は「Home」です。
上図の様に「Thunar」内の何も無い所で右クリックをし「Home」を選びます。そうすると以下のようになります。
ホームディレクトリが別ウィンドウで開きます。たったそれだけです。大多数の方がホームディレクトリに戻るための「カスタムアクション」だと認識されていると思います。しかしそうではありません。
ちなみに、ホームディレクトリを別ウィンドウで開くためのショートカットキーもあります。「Super+F」です。※Superキー=Windowsキー。このショートカットキーもあるので、「Home」は不要だと思います。
また以前ご紹介したとおり、「Ctrl+N」で現在のフォルダを別ウィンドウで開く方法があります。その方が便利なので、なおさら不必要だと思います。
Make Bootable USB stickも不要
「Make Bootable USB stick」という項目は見たことも無いと思います。なぜなら、ISOファイルやIMGファイル上で右クリックした時だけ出てくる項目だからです。
このアクションの目的は「起動可能なUSBを作成」することです。しかし、同じ事が、「Whisker Menu」→「設定」カテゴリー→「USB イメージライタ」で出来ます。

「起動可能なUSBを作成」すること自体、あまり無いと思います。しかも、わざわざ右クリックで呼び出すほど緊急性のある作業ではないと思います。ですからリストラ対象になってしまいます。
ただし、この「カスタムアクション」については、残すかどうか好みが分かれると思います。本当に不必要と思う方だけ削除をしましょう。
Format USB Stickは絶対削除
次に不要なのは「Format USB Stick」です。この「カスタムアクション」に関しては、どちらかと言えば、必ず削除すべき「カスタムアクション」だと思います。
これは文字通り、USBメモリをフォーマットする「カスタムアクション」です。
しかしこれも「Whisker Menu」→「設定」カテゴリー→「USB メモリフォーマッタ」を選択することで同じことが出来ます。

LinuxでUSBメモリをフォーマットする必要性がまず思い浮かびません。ほとんどのユーザーが市販の「FAT32」のUSBメモリを使っているはずです。Windows、Macなどの他OSとのデータのやり取りを考慮すれば、USBメモリのフォーマットは「FAT32」であるべきです。
何の目的でわざわざ「Format USB Stick」という「カスタムアクション」があるか意味が分かりません。
Style Changerだけではカスタマイズしきれない
次に不要だと思うのは「Style Changer」です。
ちなみにこのメニューを選択すると、以下の画面に移ります。
この画面は何度もご覧になっている方も多いと思います。文字通り配色計画(カラースキーム)やウィンドウのスタイル等を変更する画面です。
しかし、「Style Chaner」【単体】では、見た目を自分好みにフルカスタマイズすることは不可能です。

「Style Changer」×「ウィンドウマネージャー」×「外観」の3つの組合せることで、他のディストリビューションにはない、自由で美しすぎるデザインが可能になるのです。※この点が私がZorin OS 12.1を諦めた理由です。


ですから、デザインのカスタマイズをする場合、最初から「設定マネージャー」を開いてこの3つの項目を設定したほうが楽だと思います。ですから「Style Changer」単体へのショートカットはあまり意味を持たないと思うのです。
Style Changerの裏技
先程「Style Changer」へのショートカットは、あまり意味が無いと書きました。それは、基本的には「Style Changer」の画面からは「ウィンドウマネージャー」と「外観」の設定が出来ないからです。

ですが、「Style Changer」の右上「<」をクリックすると、文字がものすごく小さなメニューが画面上部に表示されます。
- 「appearance」=「外観」
- 「manager」=「ウィンドウマネージャー」
実は「Style Changer」上からそれぞれの画面を開くことは出来るのです。
でもメニューの文字が小さいので、私は最初から「設定マネージャー」を起動して、「Style Changer」、「ウィンドウマネージャー」、「外観」をそれぞれ起動しています。
もう1つ不要だと思う理由は「Style Changer」はやはり「Whisker Menu」の中にあるからです。「設定」カテゴリー内にあります。
あとは繰り返しですが、ChaletOSのデザインは「Style Changer」だけでは完結しません。本格的にデザインを決めようと思ったら「設定マネージャー」を開いた方が速くて楽だと思います。
Start Pointは便利だが
続いて不要だと思うのが「Start Point」です。
ちなみに上記のように「Start Point」をクリックすると、以下の画面に遷移します。
この画面左上の「recommended」をクリックするとオススメソフトの一覧が表示されます。これは結構便利です。ただ中には有償のものあるのでご注意を。
また左上真ん中の「how to」をクリックすると以下の画面になります。
「How to」動画の一覧が表示されます。ある程度参考にはなります。しかし「Start Point」の画面上では動画は再生できません。
動画のサムネイルをクリックすると「How to… – ChaletOS」の該当動画のページがブラウザで開くだけです。ですから「how to」はほとんど使いません。
むしろ直接上図の「How to… – ChaletOS」をお気に入りに追加した方が手間が省けます。
便利だが頻繁には使わない
「Start Point」の「recommanded」については、大変便利だと思います。しかし、頻繁に利用する機能かと言われるとそうではありません。
ですから右クリックメニューの中に無くてもいいと思うのです。さらに言えばやはり「Start Point」も「Whisker Menu」の「設定」カテゴリーの中にあるから余計にそう思うのです。
ましてや、デスクトップ上に「Start Point」があるので、右クリックから「Start Point」を使用する機会はまず無いと思うのです。
ちなみにデスクトップ上の「Start Point」が邪魔なら、好きなフォルダに移動しても問題なく使用できます。

Settingsは紛らわしい
不要なカスタムアクションもこれが最後です。最後は「Settings」です。フォルダ内で右クリックし「Settings」と表示されるのだから、何かそのフォルダの「設定」関連のアクションかと間違えやすいです。しかし実態は違います。
実際に「Settings」をクリックしてみます。単に「設定マネージャー」が起動するだけです。

「Settings」を削除しても良いと思う理由は、「設定マネージャー」の起動方法が他にもいくつもあるからです。
パネル(≒スタータスバー)のランチャー、「Whisker Menu」の中のメニュー、場合によってはデスクトップ上にも「設定マネージャー」があると思います。それらを使った方手っ取り早いのです。ですから不要だと思います。
カスタムアクションの削除方法
さて、これまでは不要であると思われる6つの「カスタムアクション」を紹介してきました。最後にこれら既に登録済みの「カスタムアクション」の削除方法をお伝えします。
どのフォルダを開いていても構いません。Thunarのメニューバーから「編集(E)」を選択し、その中から「アクションの設定(U)」を選択します。
「カスタムアクション」とう画面がポップアップします。その中から削除したいアクションを選択します。上の画像では「Home」アクションを選択しています。選択したカスタムアクションが削除したいもので間違いないことを確認し、右側上から3つ目のボタンをクリックします。
すぐに上のような警告が出ます。もう一度削除するアクション名を確認し、問題なければ「削除(D)」をクリックします。これで不要な「カスタムアクション」は削除できます。
ちなみに削除した「カスタムアクション」は「Thunar」の右クリックメニューから、すぐに削除されます。

デスクトップは再起動してから
しかし、デスクトップ上の右クリックメニューからは、削除した「カスタムアクション」はすぐには消えません。デスクトップ上の右クリックメニューから「カスタムアクション」が消えるのは、再起動後になります。
念のために、お伝えしました。
最後にしつこいようですが、事故防止のため「カスタムアクション」を実際に削除する前に「~/.config/Thunar/uca.xml」のバックアップは必ず取っておきましょう。