2013年7月2日。
本物のOpera12(Presto版)が、バッタ物Opera15(Blink版)に改悪された日。
同じ名前の「これじゃないブラウザ」の誕生日。
それからはフラストレーションの毎日でした。
Vivaldiの誕生
約3年後の2016年4月6日。本物のOpera(Presto版)の元創業者ヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナーらが開発した「Vivaldi1.0」がリリースされました。

“A new browser for our friends”(私たちの友人のための新しいブラウザ)
「our friends」、「友人のため」とは私のような「Opera12難民」のことだと思い、すかさずインストールしました。
1.0とリリース後わずかにも関わらず、「これじゃないOpera(Blink版)」よりも描画が速く、懐かしいノート機能なども標準で搭載されていました。もちろん、最初からブックマークパネルが搭載されるなど、まだまだ機能は足りませんでしたが「これこそOpera12(Presto版)難民の救世主」と思いました。
ユーザー第一主義だったはず

※公式サイトの「物語」より引用。
2005年からOperaをメインブラザとしていた筆者にとって「柔軟性に優れ、ユーザーを第一に考えるブラウザ」というスローガンには懐かしささえ感じました。
それだけ「これじゃないOpera(Blink版)」には苦しめられてきたのです。
さようならVivaldi
しかし、バージョン1.0~1.6まで使ってみましたが、何かがおかしい。
ASCII.jp:照明と連携するブラウザー「Vivaldi」バージョン 1.5 をリリース
照明と連動する?そんなこと全然求めていませんけど(怒)!
方向性に違いが出てきました。Vivaldiは、柔軟でカスタマイズ性に富んだOpera12(Presto版)に一旦原点回帰するものだと思っていました。しかしそうではなさそうです。失望しました。
Vivaldiに対する不満
「照明と連動」という大迷走をきっかけに、Vivaldiに対して持っていた小さな不満が大きな不満に変わってしまいました。
- Opera12のような細かなカスタマイズができない
- 開発者ツールが別ウィンドウに表示される
- 眼が疲れる
VivaldiでもChromeの拡張機能が利用可能です。しかしChrome拡張機能は、拡張したら拡張しっぱなし。どんどん右クリックメニューに不必要なアイテムが堆積します。


またリンクや画像などを別ウィンドウで開く必要性が無い筆者にとって、Vivaldiの右クリックは邪魔なメニューの塊。Opera12(Presto版)の時のように「右クリックメニューの整理」が出来ないのはかなり不満でした。
またボタンやメニューなどのレイアウトが変更が出来ないなど、Opera(Presto版)の時の「外観の設定」機能が無いのも不満でした。


アイキャッチ画像撲滅運動に支障
2番目の不満は、開発者ツールが別ウィンドウに表示される問題です。これはVer.1.0の時から不具合です。いずれ解消されるだろうと信じていました。しかし、ver1.6になっても解消されず。

「WordPressの不愉快でうざいアイキャッチ画像をStylishを使って非表示にする方法とそのCSSコード」でも紹介した通り、私はたった一人で「アイキャッチ画像撲滅運動」をしています。
不愉快でムダな「アイキャッチ画像」を非表示にするためのCSSコードを捻り出すには、どうしても開発者ツールが必要です。
開発者ツールが別ウィンドウ表示だと、見ているページとの連動が出来ません。次のページに移っても、開発者ツールには、その前に見ていたページのコードが表示されたままなのです。
使い物になりません。
眼精疲労とチラツキ
3番目の問題には、個人差があるかもしれません。しかし念のためご紹介します。Vivaldiはとても描画(レンダリング)が速いということで有名です。
しかし、その描画の速さが人によっては仇になるかもしれません。Vivaldiでは次のページを描画する前に、一瞬真っ白な画面が表示されます。
描画が速いということは、その白い背景画像の表示される回数が多いということです。これが「チラツキ」に繋がり、人によっては眼が疲れることになるんだと思います。
これらの問題を棚に上げて、「照明と連動」などと言われたら、誰だって我慢の限界に達します。

Chrome系はどれも同じ
ということでVivaldiとは決別。
仕方なく他のブラウザを探索しました。例えば、「CentBrowser」や「Slimjet」なども試しました。※どちらもポータブル版あり(執筆時点)。
両方共、開発者ツールは同ウィンドウに表示されます。チラツキもありません。しかし何かが足りません。それは「柔軟性」、(細かな)カスタマイズ性です。Vivaldi、CentBrowser、Slimjetの全部の共通することですが、どれもレンダリングエンジンはGoogle Chromeと同じ「Blink」です。
Vivaldiも「これじゃないOpera(Blink版)」も単なるChrome系のブラウザ。もう独自エンジンを開発しない限り、もうOpera(Presto版)のような「柔軟性に優れ、ユーザーを第一に考えるブラウザ」は作れないんだと思います。

※公式サイトの「物語」より引用。
嘘つき!
FirefoxはOpera12風にできる
Chrome系は全然ダメ、IEなんてもってのほか。残るはFirefoxのみ。
結論から言いますと実はFirefox、かなり柔軟なカスタマイズ性がありました。そして今やもうFirefoxがメインブラザです。
ご存知の通り、Firefoxはアドオンを追加しないといまいち利便性に欠けるブラウザ。いちいちアドオンを追加するというのが、嫌でFirefoxはずっと避けていました。
しかし皮肉なことに、柔軟なカスタマイズを可能にするアドオンが有ったことで、Opera12風にFirefoxを仕立てることが出来ました。
特にこの2つのアドオンがなかったら、FirefoxをOpera12風にすることができなかったと思います。
見た目と機能をOpera12風にするアドオン
では実際にFirefoxをOpera12風にする方法を書いていきます。その前に、Firefoxユーザーにとっての必須アドオン、「Tab Mix Plus」と「FireGestures」は既に追加済みであることを前提としています。
あともう1つ。アドオンが不要になった時、残ったデータを削除するアドオンとしては「eCleaner」が有名ですが、後から不要になったデータを削除するのは結構面倒で危険。代わりに私は「Clean Uninstall」の方をおすすめします。

このアドオンは、アドオン削除時に同時に関連するムダなデータを検出して、それらを一緒に削除してくれます。優れものです。
Speed Dial [FVD]
Operaと言えば、Speed Dial。恐らくSpeed Dial機能を最初に搭載したのはOpera(Presto版)だったはず。あの便利さにはかなり感動したことを今でも覚えています。
FirefoxでもSpeed Dial用のアドオンはあります。有名なのがその名も「Speed Dial」。でもこのアドオン、本家OperaのSpeed Dialに比べ、申し訳ないですがダサくて柔軟性に乏しいです。私も今まではこのアドオンしか知らなかったため、Firefox=ダサい、柔軟性に乏しいと考えていました。

しかし、これよりもデザイン性に富み、カスタマイズ性にも富んだアドオンがありました。Speed Dial [FVD] – New Tab Page, Sync… :: Add-ons for Firefoxです。
![Speed Dial [FVD]](https://www.lab-ssk.com/wp-content/uploads/2017/01/FVD.png)
まず見た目が本家OperaのSpeed Dialと同等か、それを上回るデザイン。またSpeed Dialのグループ化機能もあり、上に挙げた「Speed Dial」アドオンよりもはるかに使い勝手が良いです。細かな設定も可能。これを追加するだけで、かなりOpera12風になります。
FindBar Tweak
Presto版のOperaを使っていた時は、よく「お使いのブラウザは非対応です」と門前払いされました。そのため、補助ブラウザとしてFirefoxはずっと使い続けてはいました。
しかし、Firefoxを使う度にいつも変だなと思っていたことがあります。それは「ページ内検索」が画面の最下部に表示されることです。使いにくいです。これもFirefoxを避けていた理由です。

この問題は、「FindBar Tweak :: Add-ons for Firefox」を駆使することで解消できます。

有名なアドオンですし、そんなに設定は難しくないので、設定方法は割愛。「FindBar Tweak」を適用後、無事ページ内検索は画面上部に表示されるようになりました。

O’Notes
Operaと言えばノート機能も有名でした。OperaやVivaldiのノート機能には劣りますが、Firefoxにもノート用のアドオンがあります。それが「O’Notes」です。

作者自体も「Notes like in Opera12」と謳っています。

これも有名なアドオンですし使い方も簡単なので、設定方法は割愛します。
QuickPrint
Firefoxを使っていて不便だなと思っていた点はまだありました。それは右クリックに印刷メニューが無いことです。

あのIEでさえも標準で右クリックからすぐに印刷出来るようになっています。
しかしこの不便さも、「QuickPrint :: Add-ons for Firefox」を追加すれば簡単に解決出来ます。
このアドオンは特に設定などありません。このアドオンを追加した後は、以下のように印刷機能だけでなく印刷プレビューも右クリックから出来るようになります。

Tab Scope
いつのバージョンからかは覚えていません。それでもPresto版の時代から、他のタブにマウスオーバーすると、そのページ内容がサムネイルでプレビューできる機能がありました。

懐かしいですね。これも再現出来ます。Tab Scope :: Add-ons for Firefoxというアドオンです。これもそんなに細かい設定はないので、詳細は割愛。

メール機能編
ブラウザとメーラー(Opera Mail)が一体となって利用できる。
これもOpera12(Presto版)までの特徴でした。しかし、これもOpera(Blink版)への改悪の時に廃止されました。
私は学生時代からずっとメーラーはBecky!一筋。ですから、この改悪の影響はほとんど受けませんでした。
ただしOpera12(Presto版)のようにブラウザと電子メールクライアントを一緒に使いたいという方は、Simple Mail :: Add-ons for Firefoxを使うと良いかもしれません。

私も実験的に導入してみましたが、あんまり動作が安定していなかった気がします。
筆者はやっぱりブラウザとメーラーは別個派です。と言うよりはOpera Mailは電子メールクライアントとしては少し癖がある気がします。やっぱりBecky!の方がはるかに使いやすいのです。
RSSフィードリーダー編
電子メールクライアントとしては使っていなかった「Opera Mail」。ただしRSS、Atomなどのフィードリーダーとしては利用していました。とても便利でした。
皮肉ですが「Chrome拡張機能」の方には、Opera Mailに見た目も操作もほとんど違わないフィードリーダーがあります。「The RSS Aggregator」という拡張機能です。
懐かしさを感じた方も多いと思います。
残念ですが、FirefoxにはOpera Mailに近いフィードリーダーはありませんでした(執筆時点)。ただ単に探せなかっただけかもしれません。
その代わり今使っているのは、Brief :: Add-ons for Firefoxです。

2ペイン型なので最初は使いにくいと感じましたが、今はOpera Mailの時と同じくらい使いやすいと思っています。
フィードリーダーに関してはOpera Mailと同様のアドオンが無いので、ご自身にあったアドオンを探していただくしかないでしょう。
レイアウトのカスタマイズ
さてこれで、大分機能面はがOpera12風になったと思います。しかし、アドオンを追加してくいくと、どんどん余計なボタンが追加されたり、右クリックメニューに余計な項目が増えてしまいます。
この点はChrome系のブラウザと同じです。しかし、Firefoxはもともと「メニュー」の中に「カスタマイズ」という項目があります。
そこから、ボタンのレイアウトに関して柔軟にカスタマイズ出来ます。何でこの点だけはもともと「柔軟性」があるのかは謎です。
All-in-One Sidebar
しかしこの「カスタマイズ」機能を駆使してもやはりOpera12(Presto)版とは何かが違います。
Opera12まではサイドパネルにブックマークだけでなく、例えばノートなどその他のボタンもあったのです。

Firefox標準の「カスタマイズ」では、そこまでのレイアウト変更はできませんでした。しかし、それを可能にするアドオンがありました。
All-in-One Sidebar :: Add-ons for Firefoxというアドオンです。

私は、このアドオンを使って、ブックマーク、履歴、「O’Notes」、アドオン管理のボタンをサイドバーに配置しています。もうこれでほぼOpera12(Presto版)に近づきました。
右クリックメニューのカスタマイズ
もうここまでで10個弱のアドオンを紹介しました。しかし、ここでカスタマイズを終えてしまったら、下の画像のようにChrome系ブラウザと同じく右クリックに余計なゴミが残ったままです。

Menu Wizard
しかし、Firefoxは違います。「Menu Wizard :: Add-ons for Firefox」を使用することで、右クリックメニューの整理とキーボードショートカットの設定が出来るのです。
使い方を簡単に説明します。拡張機能の中から「Menu Wizard」を選択し、「設定」をクリックします。
設定画面に移りましたら、右上の「ホットキー」、キーボードのアイコンをクリックします。
そうすると以上のような画面になると思います。2画面構成です。※画像は既に「メイン コンテキスト メニュー」を開いた状態。
まず左側のペインで「メイン コンテキスト メニュー」を開きます。「メイン コンテキスト メニュー」とは「右クリックメニュー」のことです。ここで、非表示にしたい項目のチェックを外すことで、その項目は以降表示されなくなります。
右側の「ホットキー」のところでは、同時にキーボードショートカットの設定が出来ます。まさに「神アドオン」です。
これが無ければ、FirefoxをOpera12(Prestoa版)のような「柔軟性に優れた」ブラウザに仕立てることは不可能でした。
Menu Filter
ほとんどのカスタマイズは「Menu Wizard」でほとんど出来るはずです。しかし、私の場合「Menu Wizard」を使っても「完璧には」右クリックメニューの整理はできませんでした。どれだったか忘れましたが、「Menu Wizard」でも消せないアドオンによって追加され項目がありました。
そういった場合は、「Menu Filter :: Add-ons for Firefox」を使いましょう。
設定画面を開くと以下のような画面になります。「Select a memu to filter:」の所は「Main Context Menu」を選択しましょう。これが右クリックメニューのことです。
右クリックメニューに現在登録されている項目の一覧が表示されます。その中から、今度は非表示にしたい項目をクリックしていきます。これで右クリックメニューはスッキリします。これも「神アドオン」の1つでしょう。
以下が「Menu Wizard」、「Menu Filter」の適用前の右クリックメニュー(再掲)。

以下が両アドオンを適用した後の右クリックメニュー。好きなだけ右クリックメニューがカスタマイズできます。
Configuration Mania
最後にご紹介するのが「Configuration Mania :: Add-ons for Firefox」です。
Firefoxの「オプション」ではいじれる項目が少ない。オプションの「詳細」でもこの程度。

Opera12(Presto版)まではもっと細かい設定ができたはずとご不満の方は、このアドオンを使うことで細かなカスタマイズが可能になります。
もっともOpera(Presto版)の場合、もっと細かな設定をする場合「opera:config」とアドレス欄に入力し、超マニアックな設定をしていたはず。
同様のことは「about:config」とアドレス欄に入力することでFirefoxでもできます。それを分かりやすく設定出来るようにしたアドオンということでしょう。
FasterFox
Opera(Presto版)が現役だった昔に比べ、インターネット回線は年々高速化してきました。
それに加え64bit版OSの普及したため、特段設定をしなくても、特に64bit版のFirefoxはそれなりに軽くて速いと思います。
そのため「Configuration Mania」で、どこをどう設定すれば高速化、軽量化できるか紹介しているサイトもほとんどないか、あっても情報が古いです。
もし、Firefoxをさらに高速で快適にしたいということであれば、まずはFasterfox :: Add-ons for Firefoxの利用をおすすめします。
このアドオンを有効化して、単に「最適化(推奨)」か「ターボチャージャー」を選べば、細かな設定はこのアドオンが自動でしてくれます。

それでも更にカスタマイズしたい項目があったら、「Configuration Mania」で、というやり方が効率的な気がします。
Fasterfox liteは使わない
最後に1つ注意点があります。これも結構有名な話ですが、アドオンページで「Faterfox」で検索すると「Fasterfox Lite」というアドオンの方が先頭に表示されます。

必ず「Lite」が付いていない「Fasterfox」の方を使いましょう。
「Fasterfox Lite」は韓国製のスパイウェアであるとの報告が多数あります。なかには「アンインストールが出来ない」など不具合を訴えるレビューもあります。バッタ物の「Fasterfox Lite」は危険だと思います。使わないようにしましょう。
それでもOpera12(Presto版)にはなれない
以上でFirefoxをOpera12風にする方法は終わりです。
しかし、やはり何かが物足りないんです。Opera(Presto版)は特にメジャーバージョンアップの度に、何か新しい機能が追加されてきました。
もともとの「柔軟性、ユーザー第一主義」に加え、「遊び心」のようなものがあったのです。Firefoxにはこの「遊び心」がないのです。ですからワクワク感がないのです。
もし願いが叶うなら2013年7月2日より前で時が止まってくれれば。Presto→Blinkへの移行は、そう思わせるぐらい最低最悪の事件でした。
Blinkエンジン、つまりGoogle Chromeはリリース時点(当時はWebkit版)からユーザー第一主義ではありませんでした。
理由は二つある。一つが,速いこと。Google社はいつも,速いことを重要視する。(中略)もう一つが,コードがシンプルなことだ。
【続報】「Google Chrome」に込めた思い,開発担当者への質疑応答から – 日経テクノロジーオンラインより引用。
それに対し元来シェアウェア、「商品」だったOpera(Presto版)は当然お客様(ユーザー)目線。そしてIEとのシェア争いに必死だったFirefox。
それぞれ開発経緯が違うので、Firefoxであれ、Chrome系であれ、完全にOpera12(Presto版)化することは無理なんです。
Opera(Presto版)。戻ってきて欲しいです。