今日の建築技術は、「外的確実性」に依存しているといえます(下図)。つまり、気温、湿度などの「数値化可能な要素」(定量的な要素)を抽出し、それを「空間技術」によって操作しているのです。
図5. 外的確実性と内的不確実性
「空間先行型思想」とは、「空間技術」により、「内的不確実性」までもをコントロールしようとすることをいいます。しかし、そんなことは不可能なのです。
そのうえ、こうした思想の技術者達は、以下のような大きな誤解をしているのです。
- ヒトは空間に対し受動的である
- 「空間技術」を駆使すれば、「完全」、「完璧」な空間ができあがる
図6. サーマルマネキン
出展:京都電子工業㈱のカタログより
≫ヒトの放熱特性を模した等身大模型
温熱環境の定量的把握が可能
「良好な空間を用意すれば、ヒトは必ず快適と感じる」。
こうした思想下では、ヒトは環境に対し、受動的な応答をする機械のように扱われます。まるで、「生きたサーマルマネキン」のように捉えられるのです。
しかし、人間は機械ではありません。個体差があり、感情を持ちます。そして環境に対し、能動的にはたらきかけるのです。だからこそ、その反応は、「常変」で「非・定量的」なのです。
このような「内的不確実性」がある以上、万人が快適と感じる「完璧」な空間など存在しません。
図7. 空間先行型思想と人間中心型思想
しかし、空間先行型思考の人々は、「完璧」なる「空間」と「空間技術」が存在すると信じているのです(図7)。例えば、「頭の良くなる家」なども、そのような思想の表れなのかもしれません。
| ≪≪ 理念1.「人間的」を限定しない | 理念3.総合技術の否定 ≫≫ |

