3. 総合技術の否定

専門分野に偏らず、「総合的な視点」を持つことは重要かもしれません。しかし、「総合的な技術」というものは、あまり実用的ではありません。


非実用的な総合技術

▽建築生態学。健康や環境に配慮した空間を目指す総合的な思想。

例えば、バウビオロギーでは、「総合的な技術指針」として、「健康な住まいづくりへの25の指針」を掲げています。しかし、例えば、その中で、音環境にまつわる指針は、「遮音、振動の検討」しかありません。無論、「遮音、振動の検討」をしただけでは、良い音場(sound field)は、実現できません。

総合技術は断片的技術の集合
図8. 「健康な住まいづくりへの25の指針」と音響設計

なぜなら音響設計は、少なくとも3つの概念から成り立っているからです。そして、それらは「静けさ よい音 よい響き」*1)という言葉に象徴されるのです(図8)。


♪ 静けさ
… 遮音、 騒音 ・ 振動対策
♪ よい音
… 電気音響 (電機機器による音響調節)、音源のクオリティー
♪ よい響き
… 室内音響 (快く聴くための建築的工夫)
*1)永田穂 : 静けさよい音よい響き, 彰国社, 1986


総合的で断片的

要するに、「総合技術」とは、「断片的技術」の集合体に過ぎないのです。しかし、「断片化」されているのは、「技術」だけではありません。その思想背景も総合性を欠いているのです。


なぜなら「総合技術」という思想は、以下のいずれかの場合に起こりやすいからです。

  •  「人間的」の意味が限定されている場合
  •  技術者が「空間先行型の思想」に陥っている場合

こうした「限定性」のもとに成り立っているので、「総合技術」は「断片的な技術」となってしまうのです。だからこそ、「総合技術」という「完全なる空間技術」は存在しないのです。

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