絶対に自己判断で断薬・減薬してはならない 経済的に苦しければ自立支援医療制度を


私は2010年の4月からうつ病と診断されました。

私の場合の初期症状は以下のようなものでした。

  • 眠れない(入眠困難)
  • ひどい倦怠感・疲労感
  • 易疲労性
  • 心臓の痛み、動悸
  • 集中力の低下
  • 注意力の散漫

まずは身体症状が出現

その中でも最初に現れたのは、ひどい倦怠感・疲労感でした。

特に出勤時は大変でした。

朝、家を出て電車に乗ることは出来たのですが、職場の最寄り駅に近づくにつれ、どんどん、倦怠感が増し、頭も体も鉛のように重くなっていくのです

駅についた時点では、立っているのがやっと
すぐにベンチに倒れこみ、10~15分ぐらい休まないと、再び歩き始めることさえ出来なかったのです。
(会社には電車遅延と言って、ごまかしていました)

幸い、駅と職場は至近距離だったので、どうにかして職場に辿り着くことが出来たのですが、「この疲労感は何だろう」と常々思っていました。

仮面うつ病の怖さ

そんな辛い毎日を1周間も過ごすと、さすがに「集中力の低下」、「注意力の散漫」が出始め、仕事やプライベートでのミスも多くなってきます

その頃から、「あれ?おかしいな」とは思ってきます。しかし

  • 気分の落ち込み
  • 興味や喜びを感じなくなる
  • 希死念慮

といった「精神症状」は出ていなかったので、自分がうつ病であるとは、微塵も思わなかったのです。

これは、いわゆる仮面うつ病です。

仮面うつ病とは

仮面うつ病とは、簡単に言えば、精神症状(気分が落ち込む、無感動になる等)よりも、身体症状(倦怠感や睡眠障害など)がより強く感じられるうつ病のことを言います。

これも立派なうつ病ですが、症状が自律神経失調症とよく似ていいるため、誤診されることもあります

かく言う私も、うつ病よりは、やはり自律神経失調症を疑っていました。

そのため、心療内科には通わずとりあえず自然治癒するのを待っていました。
ところが、次々に別の身体症状が現れてきました。

波のように押し寄せる身体的不調

次に現れたのは、「動悸」です。

何もしていなくても、常に動悸がするようになりました。

その次は左胸、心臓のあたりが痛むようになりました。
そして段々に不眠症状が酷くなり、眠ることが困難になってしまいました

それが2010年の4月。
さすがにストレス性の病気ではないかと疑い、人生で初めて心療内科に訪れたのです。

そこで、ただちに、「重度のうつ病」と診断されましたが、それでも身体症状の方ばかりに気が向いていたので誤診だと信じていました

ただ不眠がとても辛かったので「ハルシオン」という、現在はほとんど処方されない危険で強い睡眠薬だけもらい、結局、通院はしなかったのです。

ハルシオン
画像出展:睡眠導入剤「ハルシオン」の特徴

全く眠れない日々が続き、自分の頭をひたすら殴る

先ほど眠れないと書きましたが、とうとう本当に一睡も出来ない日々が訪れました

そうなると更に倦怠感が強くなり、出勤することさえ不可能になりました。

当然、欠勤も度々するようになりました。

風邪とごまかして何とかやり過ごしていましたが、眠れないとかえって寝ようと気負ってしまい、全く眠れなくなるのです。そして最終的には、寝れない自分に苛立ちを覚える様になったのです。

うつ病が発症して2ヶ月。
2010年の6月21日。

今でも忘れません

眠れない自分の存在自体が許せず(もう「自分を消したい」という欲求もあったかもしれません)、布団からやおら上半身だけを起こし、右手のげんこつで、思いっきり自分の頭を何度も何度も激しく殴っていたのです

そこでようやく自分の精神状態がおかしいと気づき、翌日から別の心療内科に通院したのです。

抗うつ薬の効果でV字回復

そこでもやはりうつ病と診断され、ジェイゾロフトという抗うつ薬が処方されました。

しかし、それでも、当時の主訴はあくまで「不眠・中途覚醒・早朝覚醒」などの睡眠障害であったため、抗うつ薬を服用することには疑念がありました。言い換えれば、抗うつ薬で不眠が治るのか、やはりうつ病ではなく、単なる睡眠障害なのではという疑問も持っていました。

こうした身体症状に対する執着や疑念は、リフレックスの副作用でイライラして攻撃的な別人格になるという悲劇に遭遇するまでの2年間、ずっと持ち続けていたのです

これが「仮面うつ病」の本当の怖さなのでしょう

しかしながら、実際に抗うつ薬を服用すると、たった1ヶ月程度で「睡眠障害」以外の症状は改善しました。まさにV字回復(下図の1薬物反応の状態)でした。

単極性うつ病の3治療段階
出展:うつ病の再燃と再発

やがてジェイゾロフトの効果も頭打ちに

しかしながら、次の症状には顕著な改善は見られませんでした。

  • 中途覚醒
  • 早朝覚醒
  • 気分が落ち込む、特に朝の抑うつ気分が強い
  • 不安感
  • 何の希望がもてない
  • 毎日生活に張りが感じられない

特に中途覚醒、早朝覚醒は全く改善が見られなかったので、今度は睡眠外来、スリープクリニック銀座に通うことにしたのです。

スリープクリニック

銀座イメージ
出展:スリープクリニック銀座|東京睡眠医学センター

睡眠の問題は睡眠外来へ

さすがの睡眠障害の専門医。
早朝覚醒はあまり改善しませんでしたが、中途覚醒は少しづつ改善が見られました。

もちろん、その頃もジェイゾロフト(抗うつ薬)を服用していました。しかし、当時の主訴である睡眠障害が治ってくると、やっぱり、自分はうつ病ではなく、睡眠系の病気なのではと感覚が変化してくるのです

そして、睡眠障害も徐々に改善されてくると、困ることがあまり無くなり、もう自分がうつ病を患っているという感覚さえ無くなってくるのです

自己判断で断薬へ

2011年の終盤には、「もう、自分はうつ病ではないんじゃないか」と勘違いするようになってきたのです。

そして、「自己判断で」ジェイゾロフトの服用を止めるようになったのです。

その代わりに、安い「セント・ジョーンズ・ワート」のサプリを服用し始めたのです。

安いサプリで済むならいちいち病院に行かなくても済むし、一石二鳥と思っていたのです。

少しだけ経済的に困窮していた

2010年4月にうつ病になったものの、クビになることもなく、仕事は続けられたので、当時、そんなに経済的に困窮はしてはいませんでした。

しかし、親への仕送り+月2回の病院代は、経済的余裕を奪っていたのは事実です。

親への仕送りを減らすことはできなかったので、病院代とお薬代を削り、少しでも余裕を持ちたいという思いもあり、断薬をしたのです。

そして大うつ病になった

大抵の場合、自己判断で断薬・減薬をすると「離脱症状」が現れます
しかし、私の場合は、離脱症状は一切出ませんでした。

【ジェイゾロフトの離脱症状】

  • 耳鳴り
  • めまい、シャンビリ感
  • 発汗
  • 吐き気
  • 震え

その代わり、睡眠障害の影に隠れていた、精神症状が【ようやく】現れるようになったのです。

言い換えれば、「仮面うつ病」でマスクされていた症状が出始めたのです。

  • 抑うつ気分
  • 無感動になる
  • 死にたいと思う
  • 何をするのもおっくうになる

つまり典型的なうつ病の病態になったのです。
(※こうした普通のうつ病のことを大うつ病と言います)

断薬をして2週間もせずこうなったのです。
この時ばかりは、急な人格変化に周囲も異変を感じていたと思います。

急いで、病院に駆け込みました。

人気医師の裏側

スリープクリニックに駆け込んだものの、その日は、遠藤拓郎医師が当番の日。

4時間半熟睡法で有名な先生で、TVにもよく出てます。

遠藤拓郎
出展:医師・技師紹介|東京睡眠医学センター

遠藤先生が担当の日はものすごい混雑。つらい精神状態で、ずっと立って順番を待っていました。

2時間ぐらい待って、ようやく診察室へ。

そこで一言「私はうつ病は診れませんから、前回と同じ薬出しておきます」。
以上。

そうです、遠藤先生は睡眠の専門医。心療内科系の診察は出来なかったのです。
1分で瞬殺。私の悩みを聞く耳さえ持たないという感じでした。不愉快この上ない人でした。

有名無名にかかわらず、まあ医者なんてそんなもんでしょう。
自分の専門外には関わりたくないんでしょう。

しかし、本当に精神的につらい時に、心療内科も診れる先生に会えなかったのは、踏んだり蹴ったりだなと思いました。

抗うつ薬の再開で復調

まあ不快な思いはしましたが、ジェイゾロフトを処方してもらったので、服用を再開しました。そしたら、1周間もかからず、精神症状は回復しました。

「(病院代を)ケチろうとした自分が馬鹿だった」と痛感しました。

しかし、やはり、出るものは抑えたい。そこで初めて知ったのが「自立支援医療制度」でした。

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です(厚労省HPより)。

これはうつ病も対象であり、この制度が適用になると、診察代と薬の患者負担が3割から1割に軽減されるのです。

世帯年収によっては、一月の上限負担金額が設定されることもあります。

詳しい申請手順等は、ここでは割愛。

ただ、申請は市区町村の担当窓口になります
ですから、お住まいの「市町村名」と「自立支援医療制度」で検索すると、簡単に申請方法は調べられます。

いずれにしても、病院の方から勧められることはないので、自分で調べる必要はあります

私も、病院代を節約する方法をネットで調べて、初めて知った制度でした。
この制度をもっと早く知っていれば、断薬など馬鹿することなく安心して病院に通えたと後悔しています。

自立支援制度の注意点

このようにうつ病患者にとっては、とても頼もしい制度なのですが、一点だけ注意点があります。

それは、1割負担にできる病院(と薬局)は1つに限定されるという点です。

つまり、複数の病院に通っていても、1つの病院(と薬局)だけしか1割負担にならないのです。実際、あらかじめどの医療機関を1割負担にするか決めて、申請するような方式になっているのです。

認知行動療法は自分でもできる?

話がそれましたが、結局、ジェイゾロフトを再開し、精神症状は落ち着きました。断薬し大うつ病になってからは、うつ病患者としての自覚も深くなり、より早く治そうを思うようになりました。

しかし、抗うつ薬などの薬物療法だけでは、どうしても以下の症状が完治しませんでした。

  • 不安感
  • 希望がもてない
  • 中途覚醒
  • 早朝覚醒

そこで次に精神療法を試すことにしました。
精神療法で最も有名なのは、「認知行動療法」です。

うつ病に認知行動療法は有効

実は私は大学では認知心理学を専攻していました。ですから、うつ病に認知行動療法が有効なことは知っていたのです。

認知行動療法の良い点は、ちゃんとしたテキストを使えば、自分で行うこともできる【可能性】がある点です。

実際、認知行動療法のテキストブックは市販されています。

もちろん、ノンプロがやることなので、失敗する確率もあります。不安な方は、専門医に通うことをおすすめします

ネットでできる認知行動療法

ここで、自立支援医療制度が関係してきます。日本の心療内科で薬物療法と精神療法の両方を行っている所は、ほとんどありません。

そうすると、複数の病院に通う可能性も増えてきます。

しかし、自立支援医療制度の適用になるのは、1つの医療機関だけです。
そうすると経済負担は【全面的には】軽減できないのです。

本当に経済的に困窮している人は、ここで複数の病院に通うことを断念するかもしれません

個人的には、あまり独学で認知行動療法をすることはおすすめしません。しかし、自立支援医療制度の盲点があるため、あえてテキストブックがあることは紹介しました。

ただし、それでもあまり市販本で、認知行動療法を行うこともおすすめはしません。やはりそうは言っても認知行動療法を【きちんと正しく】理解する必要があるからです。

私のおすすめは、認知行動療法活用サイト「こころのスキルアップ・トレーニング(ここトレ)」 を利用することです。

このサイトは有料会員登録が必要です。ただし、会員料金は30日会員で\216ととても安いのです。またいつでも退会もできます

気軽にできる認知行動療法

ですから複数の病院に通うより、とても経済的・気軽に認知行動療法が実践できるのです。

私がこのサイトをおすすめする理由の2つ目は、認知行動療法の効果にも個人差があることです。まずはお試しで、認知行動療法が自分に合っているかどうか確かめてから、継続するなら継続し、合わなければ退会をすればいいのです。本当に気軽です。

監修医の大野裕先生もこの分野ではとても有名な先生で、私は信頼しています。

認知行動療法の効果に個人差あり

私も薬物療法と併用して、認知行動療法活用サイト「こころのスキルアップ・トレーニング(ここトレ)」 を利用していました。

ところが、私の場合ほとんど効果がありませんでした。
結局3ヶ月ぐらいで中止しました。

原因は多分、大学で認知行動療法の勉強をしていたからだと思います。
余計な知識があったせいで、新鮮な気持ち、純粋な患者の視点で取り組むことが出来なかったのが原因だと思います。

ただ個人差はあるものの、認知行動療法はうつ病に効果的です。薬物療法だけに頼るのではなく、カウンセリングも含めた精神療法を併用することはおすすめします

リフレックスをすすめられることに

このように、自分なりに色々調べ、認知行動療法なども試したものの、私には合わなかったため、医師に相談をしました。

それが2012年の6月。
そこでリフレックスを勧められたのです。

リフレックス錠
出展:リフレックス錠のすべて

その副作用で起こった悲劇は、別の記事に書きましたので、割愛します。

簡単に言えば副作用で、常にイライラした攻撃的な人格に変貌し、ついに2ヶ月後には職も失うはめになったのです。

カウンセリングを試すことに

職を失っても、傷病手当金が1年半は貰えたので、その間は、じっくり治療に専念することにしました。

しかし、もうこの時点では薬物療法に依存することに、若干恐怖さえ持ってしまいました。しかし、前述のとおり頼みの認知行動療法も効かず困っていました。

ですから、今度はカウンセリングを受けられる病院に転院しようとしました。

カウンセリングはほぼ自由診療

現在の日本ではカウンセリングについて、ほぼ保険が適用になりません。
治療の一環として行われる場合のみ保険が効きますが、カウセリングを治療の一環として取り入れている心療内科は、本当に少ないのです。

傷病手当金がもらえるとはいえ、無職。お金に困っています。

必死にカウセリングが保険適用になる病院を探しました。
しかし、そのような稀な病院を探していたのは、私一人だけではなかったのです

私は決して一人で孤独ではなかったのです

渋井佳代先生は医師の鑑(カガミ)

なんと当時通っていたスリープクリニック銀座の院長、渋井佳代先生も、必死になって私の希望に沿う転院先を調べていてくれたのです

患者を一人失うのに、このクズみたいな人間のために、忙しい中、わざわざ時間を割いてカウンセリングが保険適用になる希少な病院や、安くカウンセリングを受けられる方法などを詳細に調べて下さったのです。こんなに他人から優しくされたことにないです

渋井佳代先生
出展:医師・技師紹介|東京睡眠医学センター

ネット社会、調べた結果は結局同じだったのですが、ここまで親切にしてくれることに、本当に心が動かされました。私は「人間」として渋井先生のことが大好きです。医師の鑑(カガミ)です。

あのテレビや著書で有名な遠藤先生とは正反対ですね

渋井先生は会うだけで治療効果あり

スリープクリニック銀座に通う機会があれば、ぜひ渋井先生の担当の日に通うことをおすすめします

平日しか診ていただけないのが残念なのですが、本当に患者の話をよく聞き、患者の立場になって考えて下さります。話しているだけで癒され安心できるような、とても優しいオーラ満ちた方です。

本当にお会いするだけで治療効果があると言っても過言ではないです。

実質5分程度しか話していないのに、10分~20分も話したような感じがするとても濃密な時間が過ごせます。

私も当初はわざわざ平日有給を取って、渋井先生に診てもらってました。

病弱な私は様々な分野で、たくさんの医師に巡り合ってきましたが、渋井先生以上に患者に寄り添える医師にあったことはありません。今後もないでしょう。本当に素晴らしい先生です。

結論

最後は余談になり、とても長い文章になりましたので、要点をまとめたいと思います。

  • 自己判断で断薬・減薬すると離脱症状などに苦しむ可能性大
  • 減薬する際は、必ず医師と相談の上行うこと
  • 経済的に苦しく、病院代を削りたいなら、自立支援医療制度を利用する
  • 今は認知行動療法は「こころのスキルアップ・トレーニング(ここトレ)」などで手軽に試すことができる
  • 精神療法と薬物療法を積極的に併用しましょう。治療効果が深まります。

こうして過去を振り返り、ブログにできるまで回復したのも、精神療法(カウンセリング)と薬物療法と併用したおかげだと思います。

日本には自立支援医療制度という素晴らしい社会保障制度があります。また失業保険制度もうつ病患者に対してはとても寛容です。ですから無駄に経済的な負担を減らそうとして、自己判断で断薬・減薬をする必要など一切ないのです。

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